はじめに
まず初めに、本記事の執筆者はタントリックヒーラーではありません。性感ヒプノセラピーのセラピスト(東京都内の催眠性感療法士)です。この記事は性感や性科学の知識が豊富な催眠性感療法士の視点からタントリックヒーリングについて調査・解釈した記事になります。
出来るだけ中立的な立場から良い点悪い点両方を拾って執筆していますが、僕個人としてはタントリックヒーリングの手法自体には肯定的です。(性科学的な根拠が意外としっかりしているため。)
【タントリックヒーリング】とググってこちらの記事にたどり着いた方はおそらくyoutubeや各ヒーラーのホームページにアップされている動画を見ているかと思います。
動画の内容としては、ヒーラーが女性の下腹部に手を当てているだけで女性が勝手に痙攣して何度もイってしまうというものです。
動画を見た方からは『怪しい』『嘘だ』『胡散臭い』『やらせでしょ』『大人のおもちゃを仕込んでる?』等、疑いの目を向けられがちです。
しかし結論から言うと、タントリックヒーリングのヒーリングの結果として女性が絶頂に達しているということ自体は紛れもない真実です。ただ、スピリチュアル要素が強く、スピ系が好きな方には効果が大いに期待できますが、スピ系に抵抗のある方には向かない施術と言えます。(一般の方には性感ヒプノセラピーがおすすめです。)
タントリックってそもそも何?どういう仕組み?呼吸法が大事?結局ただの脳イキでは?誰にでも効果あるの?何回通う必要がある?料金は?等々尽きない疑問は本文にて。
タントリックヒーリングの動画
まずはこちらの動画をご覧ください。youtube内で一番再生されているタントリックヒーリングの動画です。何やら怪しげなおじさんが怪しげなことをしています。本記事執筆時点で再生回数は1870万回以上です!再生数が2,000万回近くあった動画は消えていました。2023年6月時点では↓の動画が1,000万再生を突破しています。
海外でも、Tantric healingやEnergelic bodywork 、Energy orgasm、Kundalini healing等さまざまな表現で似たようなことが行われています。
日本のタントリックヒーリングがお腹に手を当てるだけと動きが小さいのに対して、海外の同様の動画では動きが大きいのが特徴です。日本版では体外式ポルチオを主な技法のひとつとして利用していますが、海外版では性器付近にあるチャクラから頭頂部にあるチャクラへエネルギーを昇華させていくイメージ法をメインにしている?ようです。
タントリックヒーリングとは?
タントリックヒーリングとは文字通りに解釈するとタントラの思想や技法を利用したヒーリングで、子宮ヒーリングとも言い換えることができます。女性の性エネルギーを利用して子宮オーガズム(マルチオーガズム)を誘導する施術です。
手法としては、主に呼吸法や瞑想、体外式ポルチオ(子宮揺らし)がメインになっているようです。
タントラ系施術のゴールとしてよく言われるのは、解脱、女性性の開花、クンダリニー覚醒、神秘現象を起こせるようになる、等がありますが、タントリックヒーリングの実態としては『性器に触れずにお腹に手を当てるだけで中イキや脳イキができるようになる施術』というのを売りにしている傾向があります。
タントリックヒーラーたちの動画やブログを見ていても、セックスについて赤裸々に語っている様子が見て取れます。自身のセックス経験について熱く語っている動画が多くアップされていて、中にはブログで『レズセックスしてきました!』と書いている方や、女性向け性感マッサージと並行して営業している方もいたりします。
個人的には、このようなエロよりの傾向があるのは悪いこととは思っていません。一般的なヨガもタントラと深いかかわりがあるのですが現代では健康法として広く広まっているのと同じように、女性が性をもっと積極的に楽しめる世の中になりつつある今、必要とされていることなのではないでしょうか。
性感ヒプノセラピーにおいても、不感症の改善やオーガズム不全の改善を通して女性のセックスライフがより豊かになることを目的として施術を行っています。
タントリックヒーリングの起源
5年以上前にタントラについて調べていた時期があるのですが、当時はタントリックヒーリングという言葉は全く聞いたことが無く、タントラといえば、タントラセックス、タントラマッサージ、タントラヨガ、といったものが主流でした。
タントラ風のセックスで今までにない快感を得られるという俗物化したハウツーが昔から多く出回っています。
タントリックヒーリングは実はもともとそういった方法論が昔からあったわけではなく、最近になって作られたものです。一般的な用語の組み合わせなので世界のあちこちで独自の方法論を作り上げている人たちが出てきています。
日本においてはほとんどのヒーラーは福岡在住のtaro氏(寺床忠廣氏)が考案したタントリックヒーリングの方法論を用いています。
youtubeでタントリックヒーリングという名の脳イキ動画がバズったのをきっかけにtaro氏が主宰するタントリックヒーラー養成講座には多くのヒーリング関係者がつめかけたようです。
taro氏ブログの内容を見るにタントリックヒーリングはやはりスピリチュアルな要素は強めです….
子宮エネルギー(シャクティの昇華によるチャクラの開花と意識の変容、松果体(第三の目)が覚醒することで引き寄せやスピリチュアルな力を得ることができる 等々
ただ、神経や脳内ホルモンの説明があったりと性科学的な根拠はしっかりしているようです。これらの知識や呼吸法については性感ヒプノセラピーにおいても通じるものがあり催眠性感療法士としても概ね同意できる内容となっています。
- オキシトシンの分泌と子宮収縮を促す
- 深呼吸からの瞑想状態でセロトニンの分泌を促す
- 子宮が収縮することでベータエンドルフィンが分泌
- ベータエンドルフィンはドーパミンの分泌を促す
(正確には”ドーパミンの分泌を抑制するGABA”を抑制する)
タントラとは?
そもそもタントラとは何なのか?
タントラはインドやチベットで8世紀以降に成立した後期密教の聖典の通称です。宗教性や哲学性を帯びたもので、かなり雑に説明すると『性的なエネルギーを通して解脱することを目的』としています。Wikipediaのタントラに関するページを見ても分かるように、非常に難解で特殊な用語も多いためwikipediaですら読み解くのが困難です。
タントラについてより詳しく知りたい方は下記の本で分かりやすく解説されているのでおすすめです。
天武 五十鈴という北海道のオナニー愛好家の方がある日とてつもないドライオーガズムを得て幽体離脱まで経験してしまったことをきっかけに自身に起こったことはいったい何なのか、ということを性科学やタントラ哲学等の文献資料をもとに様々な角度から考察している記録です。かなり興味深く面白い内容です。
ちなみに、現代の多くのタントラ系団体に直接的に影響を与えているのは古代インドの思想というよりネオタントラと呼ばれる近代的な思想です。
ネオタントラとは?
ネオタントラとは1960年代以降でアメリカやヨーロッパで流行した思想で、OSHO(バグワン・シュリ・ラジニーシ)という宗教家が知名度の拡大に大きく貢献しました。
全身性感帯のようなとてつもないオーガズムが得られるという評判の一方、悪質なセックスカルトによる事件や闇も数多く発生したため世間的には否定的なイメージも強いです。
タントラセックスやタントラヨガ、タントラマッサージという手法が有名で、これらはいずれもOSHOの弟子たちを中心としたコミュニティから派生して全世界で広がっています。純粋にタントラヨガを実践している団体もあれば、tantra massage = erotic massage として単なる風俗店として営業しているところもあったりと様々です。
OSHOのタントラに対する考え方は以下のようなものです。
ラジニーシはインドの因習的伝統や組織宗教に対する批判を行い、セックスが超意識に至る手段になりえると説いて議論を巻き起こし、身体を重視するホリスティックな教え、タントラ的な「悟り」とそこに至る方法を教えた[6][19]。 セックスは石炭であり、一方ブラフマチャリア〈性超越〉はダイヤモンドだと言いたい、性超越はセックスの変容だ[20]、と言い、もし人間がセクシャリティを正しく理解するなら人間はセックスを超える事ができる、人間はセックスを超えるべきだ[20]、と説いた。 セックスにいつまでもとどまっているべきではないが、セックスを踏み台として用いることができる。それがタントラの意図するところだ、と彼は言う
wikipediaより引用
要は、セックスを通じて悟りを開こうというかなりファンキーな思想です。
タントリックヒーリングでももともと目標としているのは似たようなところだと思われます。
ちなみにOSHOの教えも非常に難解で挫折する人が続出したようです。古代でも何年も修行してもなお悟りに至る者は本当にごく僅かだったといいます。それに対してタントリックヒーリングは3時間3万円で学べるというのだから驚きです、、、(つまり、タントリックヒーラーはタントラを詳しく理解しているわけではなく本来のタントラとタントリックヒーリングは全くの別物と考えて差し支えないでしょう。)
セックスを通じて悟りを開くというと突拍子もないようなもののように思うかもしれませんが、実際のところ性と生というものは切り離せない関係にあり、生が充実すれば性も充実したり、性が充実すれば生も充実するといった関係性にあると僕も考えています。そのため性感ヒプノセラピーでは、不感症の改善やオーガズム不全の改善に重きを置いています。
OSHOについては実はNETFLIXで映像化されていて、2018年のエミー賞(ドキュメンタリー部門)も受賞、ネットでの評判も上々なので一見の価値ありです。中身としてはOSHOの思想や教え等は描かれておらず、OSHOが率いた集団がアメリカで成功を収めそして破滅するまでの一連の経緯がまとめられています。
アメリカではセックスカルトと認定されFBIも出動する等、当時は大きな事件だったようです。

taro氏もブログの中でOSHOの名前に軽く触れてはいますが本を深く読んだわけではなくタントリックヒーリングの元ネタになっているわけではないようです。
また、taro氏は表立って組織化するようなことはせず各地で教え子が自由にビジネスを展開しているといった状況なので、日本におけるタントリックヒーリングは宗教的な要素というものはほぼ見受けられません。
タントリックヒーリングのやり方・呼吸法について
プラーナ(気)を操作する、女性エネルギーや男性エネルギーを交流させる、といったスピリチュアルな描写がありますがこれに関しては科学的な根拠はありません。
タントリックヒーリングでは体外式ポルチオとイメージ瞑想法に加えて呼吸法が要になっているものと思われます。タントリックヒーラーのブログやyoutubeを見ると、3つの呼吸法で構成されていることが分かります。
- 深呼吸でリラックス状態を深める
- 出産の呼吸(火の呼吸)で息を素早く吐く
- 気持ちいい声を出しながら深呼吸する
これらの呼吸法は催眠性感療法士から見ても理にかなった方法になっています。
下記の記事ではタントリックヒーリングの呼吸法を使って性感ヒプノセラピーを行っています。
また、催眠性感療法士の視点からこれらの呼吸法についても解説しています。

タントリックヒーリングで中イキが出来るようになる?
タントリックヒーリングの施術では、呼吸法と子宮付近への手当を通じてマルチオーガズムを誘発させます。マルチオーガズムというのは連続したオーガズムのことで、自律神経系のオーガズムの特徴の一つです。中イキ(子宮イキやポルチオイキ)も自律神経系のオーガズムです。
マルチオーガズム誘導時には性器には一切触れないので、タントリックヒーリングによるオーガズムは脳イキの1種であると言えます。
自律神経系のマルチオーガズムを経験することで、同じく自律神経系のオーガズムである中イキも普段のセックスでできるようになるというのは知識としては正しいです。
タントリックヒーリングは1回目で効果は感じられない?
タントリックヒーラーのホームページやブログを調査してみても何回の施術が必要かはあまりはっきりと書かれていません。ただ、なんとなくやんわりと、1回の施術では効果を得にくく複数回の施術を受ける必要があるといったことが書かれています。
マルチオーガ☆ムを感じるまでにどれだけかかるかは一概には言えません。
ベースにも個人差がありますし、エネルギー的なところへの反応の違いもあります。1回で体感できる方もまれにいらっしゃると思います。
マルチオーガ☆ムはヒーリングをどのくらい受ければ経験できるもの? より抜粋
(他のヒーラーさんの方々の経験としても聞いたことはありませんが、可能性はゼロではないと思います)
それなのに先に、「1回でマルチオーガ☆ムを感じるのは難しい」と言い切ることに抵抗がありました。
こちらのヒーラーの方の記述によると1回で体感できる人は基本的にいないとのこと。
タントリックヒーリングでは受け手がスピリチュアルに対して大きな興味があり被暗示性(暗示の入りやすさ)が高い人でないとなかなか効果を感じづらいと言えます。
性感ヒプノセラピーも必ずしも1回目で確実に効果を得られるという事は言えませんが、体感できる方が比較的多いのが特徴です。スピリチュアルな素養が不要であり、言語暗示やイメージ法等さまざまな技法で効果を実感できる確率を高めています。
タントリックヒーリングの料金相場は?
だいたいは2時間2-3万円くらいが相場のようです。
価格帯としては安いところで1万円~、高い人だとカップルで15万円の高額な料金を提示しているお店もあります。
遠隔タントリックヒーリングとは?
タントリックヒーリングに限らずヒーリング系には対面ではなく遠隔でヒーリングを行うというジャンルがあります。ZOOMヒーリングとかもやってたりして少し面白いです。
遠隔ヒーリングは通話やテレビ通話をするものだったり、ただある時間に受け手の人のことを想ってエネルギーを送るだけといった意味不明なものまで様々です。
タントリックヒーリングの遠隔ヒーリングでは、通話もしくはビデオ通話で行われ、
3番目の呼吸つまり、感じている色っぽい声を乗せた呼吸が特に重要視されてるようです。
女性ヒーラーが受け手女性に対してタントリックヒーリングをする際には、ヒーラーの女性が感じている声を一緒に出すことで受け手女性もそういった声を出しやすいようにする等の工夫がされます。
しかし、この点についてルポライターの山田ノジル氏は“テレホンセックスと遠隔タントリックヒーリング、何がどう違うのかよくわからない。”と言い放っています。
はたから見ると本当にただのテレホンセックスなのですが、一応補足するとタントリックという基盤暗示(タントリックヒーリングのエネルギー交流で不思議なことが起きるんだという思い込み)をベースにトランス状態に入って行われるものなので純粋なテレホンセックスとはまた異なります。
タントリックヒーリングの危険性
タントリックヒーリングの施術自体は、呼吸法や瞑想法を使って本来女性が持っている感じる力を引き出しているだけなので危険性はありません。
ただ、山田ノジル氏の記事で書かれている女性のようにはまりすぎて回りが見えなくなると社会生活に支障をきたすのでそういった意味では危険性があります。
スピリチュアルなものが神秘的な凄いものという意識にとらわれてしまうということはとても危険です。タントリックヒーリングでマルチオーガズムを得られるというのは、性科学や脳科学、ヒプノセラピーの観点から十分説明できるものです。人間の脳の仕組みを利用しているだけなので神秘的なものでも何でもありません。
実は、オ●ム真理教もタントラやクンダリニーの覚醒といった神秘性を信者獲得の餌としていたという負の歴史があります。
単純に脳の仕組みを利用しているだけなのに神秘性があると錯覚させるという風に悪用する悪い人もいるので注意が必要です。
1人でするセルフタントリックヒーリングのやり方
タントリックヒーリングは本来2人で行うエネルギーワーク(?)なので一人で行うのは難しいと思われます。ただ、スピリチュアルな要素を抜きにするなら、同様の呼吸法でマルチオーガズムに持っていくことは可能です。
- 深呼吸をして余計な思考を落とす
- 出産の呼吸(火の呼吸)でトランスを深め子宮周りの筋肉を活性化させる
- いやらしい声を出す
この時にいやらしい妄想をしたり、自分で子宮のあたりを軽く押さえたり揺らしてあげたり、子宮に性的な気持ちよさが頭の方に上っていくのをイメージするとより性的トランス状態が深まり快感を感じやすくなります。
セルフタントリックヒーリングを実践してもらった動画もご覧ください。
タントリックヒーリングは男性にも効果がある?
男性にも効果があるとされています。もともとタントラは男性が修行していたものです。タントラ成立当時の修行では一切射精はしてはならないとされていたりとかなり厳しい修行だったようです。そして射精を我慢して射精のエネルギーを頭頂部にあるチャクラに昇華させるととてつもない快楽が得られると、、、つまり、今でいうドライオーガズムの強化版のようなものが一つの目標とされていたようです。
youtubeにもタントリックヒーリングで男性をドライオーガズムに導く動画が複数アップされています。ただ、タントリックヒーリングでドライオーガズムを感じられる男性は元々かなりの素質があるM男性か、ドライオーガズムを会得済みのM男性でないと難しそうです。ドライオーガズムを体験することが目的の方はアネロスを買って催眠オナニーに耽るか、M性感風俗に行くのがおすすめです。
まとめ
タントリックヒーリングでマルチオーガズムを得られるというのは嘘ではありません。ネット上の体験談や感想を見ても、『子宮の中から感情があふれ出してきて涙が止まらくなった』『本当の自分に出会えた』『過去のカルマを浄化することができた』等々、単純に中イキできましたという感想だけに留まらない絶大な効果を感じる方もいるようです。(絶大な効果を感じている人はスピ系の人が多い印象)
これに対して、性感ヒプノセラピーではスピリチュアルな素養が無くても全く問題ありませんし、実はスピリチュアル系の人も性感ヒプノセラピーはかなり相性がいい施術です。マルチオーガズムに興味をもってこちらの記事にたどり着いた方はぜひぜひ当店のご利用もご検討いただけますと幸いです。